介護業界にはさまざまな仕事がありますが、なかでも介護福祉士になるためには、大きく分けて2つの道あります。

ひとつは養成施設ルートといって、厚生労働省が指定した介護福祉士養成施設で所定のカリキュラムを学んで卒業と同時に資格を得る方法です。介護福祉士養成施設のカリキュラムは1850時間。介護を行うときの基盤となる教養や倫理的態度を養い、介護する際の根拠として心と体の仕組みを学んでいきます。
また、介護知識や介護技術をどのようにその人に合わせていくのかというニーズをふまえた介護の展開方法も学びます。それが、尊厳や自立支援といったその人らしい生活を支えるための介護につながるのです。
一方で、さまざまな専門職の視点で意見を交わしながら、介護の現場で働く多職種協働チームの共通言語としてICFもカリキュラムに盛り込まれています。ICFとは国際生活機能と障害の分類のことで、健康と生活を包括的に捉える考え方です。

もうひとつのルートは国家試験を受験する実務経験ルート。実務者研修は450時間で、各科目ごとに教育時間数が定められています。通信教育で実施が可能であることが大きな特徴です。また、保有している資格ごとに、受講免除となる科目があります。たとえば、訪問介護員2級取得者は、2級で130時間学んでいることから、実務者研修は450時間から130時間を引いて320時間受講すればよいことになっています。働きながらでも取得を目指しやすいルートです。このルートを選択する場合は、働きながらの資格取得のコツについても把握しておくと良いでしょう。

人によりそれぞれのメリット・デメリットが異なるため、自分にとってどのルートが適切であるかを見極めることが重要です。